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2013-07-26 (Fri) 22:37

DÉSERTEUR ( 脱走兵 )

聞き取りの授業で、脱走兵( Déserteur という歌を知りました。
1920に生まれ1959年に亡くなった、ボリス・ヴィアン(Boris Vian)という歌手であり、詩人、作家であり、トランペッター、その他という多彩な青年が書いた歌詞です。
第2次世界大戦が終わって、まだ余韻の治らぬ頃、インドシナ=今のベトナムで戦争が起こりました。
第一次インドシナ戦争(1946年 - 1954年)
まあ言ってみれば、その戦争は、第2次世界大戦の後アジア各地でおこった、戦利品としてその地を分割支配しようとする戦勝列強国と、それを拒んだレジスタンスとの戦いの一つであったと、私は思います。

フランスは、その当時、徴兵制が存在しておりました。
徴兵制度が廃止されたのは、今からほんの20年ほど前でしかありません。
先進国のフランスでさえ、そんな状況です。
日本国民は、国民が兵役義務を負うなどあり得ないことだと思っていますが、そんなことはないのです。
しっかり政府を見守っていないと、気が付けば、軍隊そして徴兵ということになりかねません。

それはさて置き、第2次大戦から数年後の戦争です。
愛国心に燃えた国民が軍隊を賛美していた頃に、この青年は、大統領に宛てた「徴兵拒否の」手紙を歌にしたのです。
タイトルは「脱走兵」と一般的に言われていますが、離脱者という意味もあるので
私は「徴兵拒否者」と言いたいですね。

最後の歌詞で大統領に言い放ちます。
憲兵隊に、私は武器を持っていないから、撃ち殺しても構わないと告げなさい。

この歌を作ったときに、始めは武器を持っているからという歌詞で考えたそうです。
でも、あくまで平和主義を通したいと、武器を持たないという歌詞にしたそうです。
その当時は、ラジオしか無い時代で、放送禁止になったそうですが、歌詞の内容で禁止できなかったので、
パリ市の評議員のポール・ファベール(Paul Faber)という人物が、この歌が旧軍人に対する侮辱であるという理由をつけて放送禁止処分を求めたことから、禁止となったいきさつがあるそうです。

「歌(脱走兵)の歴史を知ってください」というフランスの番組を見つけました。
興味のある人は覗いてみて下さい。
始めにしつこい車のコマーシャルがありますが我慢して下さい。日産の車ですが・・・
その後、番組で紹介されています。
歌っているのは、ボリス・ヴィアンでなくムルージという歌手だと思います。
その当時の歴史的背景、フランス社会ではスキャンダルであり大変だったみたいなことも話されていると思います。
この歌は、ジョニー・ハリディやジュリエット・グレコも歌ったそうですが、この番組の中でジョーン・バエズが歌っている姿もありました。

Découvrez l’histoire de la chanson "Le déserteur"


DÉSERTEUR
脱走兵 

Monsieur le Président
Je vous fais une lettre       
Que vous lirez peut-être       
Si vous avez le temps        
大統領閣下
あなたに手紙を差し上げます
多分読んでくださるでしょう
あなたにもし時間があるなら


Je viens de recevoir
Mes papiers militaires
Pour partir à la guerre
Avant mercredi soir
私は赤紙を受け取った所です
水曜日の夜までに戦争に行けとの


Monsieur le Président
Je ne veux pas la faire
Je ne suis pas sur terre
Pour tuer des pauvres gens
大統領閣下
私はそうしたくありません
交わしそうな人々を殺すために
私は生まれてきたのではないのです


C´est pas pour vous fâcher
Il faut que je vous dise
Ma décision est prise
Je m´en vais déserter
あなたを怒らせるつもりはありませんが
私はあなたに言わなくてはいけません
私の決意は定まりました
私は脱走いたします


Depuis que je suis né
J´ai vu mourir mon père
J´ai vu partir mes frères
Et pleurer mes enfants
生まれてきてこの方
私は父の死を見ました
兄弟達の出征を見ました
そして子供達が泣くのも


Ma mère a tant souffert
Elle est dedans sa tombe
Et se moque des bombes
Et se moque des vers
母はすごく苦しみました
彼女は墓の中におります
そして(今では)爆弾を意に介さず
ウジ虫も気になりません


Quand j´étais prisonnier
On m´a volé ma femme
On m´a volé mon âme
Et tout mon cher passé
私が捕虜になっていたとき
妻を奪われ
私の魂を奪われ
そして私の大切な物すべてをなくしたのです


Demain de bon matin
Je fermerai ma porte
Au nez des années mortes
J´irai sur les chemins
明日の朝早く
私は扉を閉めるでしょう
過ぎ去った年月の前に
私は旅立つでしょう


Je mendierai ma vie
Sur les routes de France
De Bretagne en Provence
Et je dirai aux gens:
私は物乞いをするでしょう
フランスの道々で
ブルターニュからプロバンスへの
そして私は人々に言うでしょう


Refusez d´obéir
Refusez de la faire
N´allez pas à la guerre
Refusez de partir
服従を拒め
戦争することを拒め
戦争に行くな
出征を拒め


S´il faut donner son sang
Allez donner le vôtre
Vous êtes bon apôtre
Monsieur le Président
もし血を捧げることが必要なら
あなたの血を捧げなさい
あなたは良き使徒です
大統領閣下


Si vous me poursuivez
Prévenez vos gendarmes
Que je n´aurai pas d´armes
Et qu´ils pourront tirer
もしあなたが私を追い回すならば
あなたの憲兵達に告げなさい
私は武器を持っていないから
彼らは引き金を引いても構わないと


最後に、この歌を聞いてみて下さい。
ゆっくりなので、聞き取りやすいのがうれしいです。


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最終更新日 : -0001-11-30

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